HOME » 油職人今昔話
最近WOOシリーズ、特にWOO[R]がよく売れています。
どうしてなのでしょうか? 2ストバイクが市場からどんどん無くなっていくことで、2ストエンジンオイルの需要が少なくなり、有名オイルメーカーが販売を止めてしまったのかなぁって思ったりしてます。
何回か取り上げたのが2ストバイクのガソリン対エンジンオイルの混合比があります。この件に対する質問も未だに多いのです。
この混合比率の答えはかなり難しくバイクオーナー以外答えを出せる人はいないと思っています。
2ストオイルメーカーが異なっても、頑なに50:1を実行する人もいれば、使用オイル(メーカーが異なる)によって細かなデータを採る学者肌な人までいます。
どちらも間違ってはいないと思っています。何故かと言えば結果は実行者が体験することだからです。
判断は必ず結果が伴うのです。
2012年度全日本モトクロスIA2チャンピオン山本鯨選手は2スト125に乗っていた頃、WOO[R]を32:1の混合比で使用し戦っていました。
これが山本鯨選手のオリジナル混合比であって、たとえ同じWOO[R]を他の選手が鯨選手と同じ市販レーサーに使用してもその選手の混合比になることはありません。
参考となってもその選手のベストではないと言う事です。
その理由は乗り方(ライディング)が違うからです。
エンジンの状態も違います。
分離給油式であれば乗り方を問うことはありません。
混合の場合、乗り手によって混合比が異なるのはスロットルの開閉時間の違いなのです。
ご存知のようにスロットルを閉じている時燃料はほとんどエンジンの中に入ってきません。
来ないと言う事は混合された2ストオイルも来ないと言う事です。
2ストオイルが来ないと言う事は潤滑や放熱に問題が生じるのです。
逆にスロットルを全開にしている時は燃料が大量に入って来ます。
と言うことは2ストオイルも大量に入って来ます。
全開で全周を走る訳ではありません。どんな人でもスロットルの開け閉めで走ります。つまり平均値をどこで採るかなのです。
これは本人しか解らないのです。
ベテランになるとレース終了後、リザルトにベストが何週目に出たかで混合比の推測がある程度出来ますが、あくまでも推測でしかありません。
エンジンのチューニングの仕方によっても混合比は変わって来ます。
特に掃気ポートの噴出し角度やチャンバーの形状によってエンジンの冷却効率に違いが生じます。
冷却効率が良い場合、2ストエンジンオイルの混合比が比較的判断し易いようです。
逆に冷却効率が悪い場合は混合比の設定に苦しむようです。
2スト4ストにかかわらずエンジンの温度管理をしていると色んな事に役立ちますので、エンジン温度データを採る事をお薦めします。何でもそうですが、色々なことを参考にベストな混合比を探り出すのが良いかと思います。
バイクはいつでもベストを欲しているものなのです。