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2サイクルエンジンオイルの混合比はどの位が良いのかって聞かれます。
出来るだけ濃い目にと答えています。
混合比をあまり薄くするとオイルスリーブ(弊社呼称)が形成されないのと潤滑不良をおこすからです。
オイルスリーブは今昔話で述べたようにコンプレッションを高めたり、エンジン温度を下げるための放熱に欠かせません。又エンジンを構成する部品の耐久力を高めます。
ここで言う混合されたエンジンオイルは、直接的にエンジン温度を下げるのではなく、ピストンが爆発工程で受けた熱をシリンダーに伝達することを意味しています。
つまり、通常ピストンが保持する熱は吸入された新しく冷えている燃料が冷却していることと、ピストンリングからシリンダーに熱を移動させ冷却しています。
オイルスリーブを形成することによってピストン側面全体でシリンダーに熱を移動させ冷却を促進することが出来るのです。
濃い目の混合比を否定される方がいらっしゃいます。
吸い込む燃料の燃料比率が高い方がパワーが出ると言います。
これは過去にあるオイルメーカーが言っていたことで現在は何事も無かったことのように沈黙しています。もしそれが本当であれば極端な表現かもしれませんが、メインジェットを外せば想像を絶するパワーが出るはずです。現実は違います。何故でしょう?・・・・・
エンジンには必要以上の燃料がいらないからです。
混合燃料はスロットルを閉じると燃料が少ししかエンジン内に行きません。行かないと言う事はオイルも少ししか行きません。オイル混合比が薄いと最初のうちはいいのですが、蓄熱と潤滑不良が部品の磨耗を加速させ、レース後半パワー&トルク不足になってくるはずです。
予選で好タイムを出しポールポジションにも拘わらず最終的に勝てない方は混合オイルの比率を考えてみると良いかもしれません。
4サイクルエンジンにEGS[LIMITED]を使用するとパワーとトルクがアップします。そして燃費も向上します。
2サイクルエンジンでも4サイクルエンジンと同じで、コンプレッションを上げることでパワーとトルクを上げる事が出来ます。(圧縮比ではありません。圧縮圧力です。)
好例として、モトクロスライダー山本鯨はプロになる前に市販2サイクルモトクロッサーにWOO[R]を32:1で使用していました。
この32:1の混合比を導き出すためにしたアドバイスは30:1と濃い目から、40:1と薄目を1リットル単位で濃い目から薄目へ、薄目から濃い目にと実走行で試してみてと言う事でした。
その結果32:1の混合比がベストと言う結果を導き出しました。こんな努力の積み重ねが稀代のチャンピオン山本鯨を生んだのかもしれません。
このデータはあくまでも当時のスズキの2スト市販モトクロッサーのものであり、全ての2ストエンジンに言えるものではありません。
※画像註釈:オイルスリーブを形成することにより圧縮圧力をピストンリングより下へ逃がしません。